慢性疲労症候群は治ります。
今日はまた真夏のような暑さでしたが、9月9日は季節の変わり目で、重陽の節句とも言われています。
菊のお酒を飲んだり菊にちなんだ飾りなどをして、健康を祈る風習が昔はあったそうです。
俳句では菊は秋の季語。
残暑は残るものの、空や風の様子に秋を感じるこの頃です。
さて、先週「慢性疲労症候群」の日本の推定患者数は30万人で、原因もはっきりわかっていないという報道がされていました。
私は、足をひきずりながら歩いたり、だるくて起きられないため寝たまま話をされる女性の姿や、大勢の方が集まって会合をされている様子にとても胸をつかまれるような思いでいました。
原因がわからない=めぼしい治療法がない、とも伝えられていました。
しかし、本当に慢性疲労症候群は治らないのでしょうか・・・
この疾患は、慢性的な疲労や、筋肉の痛み、睡眠障害、脱力感、その他さまざまな症状が出てしまうもので、日常生活にも大きな支障が生じます。
当クリニックには、慢性疲労症候群と診断された方や、慢性的な疲労・その他自律神経症状、睡眠障害などを訴える方が来院されています。
実は、私はかつて自分自身が副腎疲労という状態に陥ったことがあります。
副腎ホルモンの1日の分泌量は、最適値の6分の1以下と、かなり低下していました。
その時は、足の筋肉に力が入らず、道を歩くことがとても困難な時期がありました。また椅子に座っていても、ひどい低血圧とだるさで、床にたおれこんでしまうこともありましたし、朝は鉛のように体が重く、休日は12時間以上寝ても疲れがとれない、などというつらい状態が続いていました。
このように「副腎疲労」という状態に起きる症状も、慢性疲労症候群と同じような症状がいくつかあります。すべてではありませんが・・・
そして、根本にある原因に関しても、全てではないかもしれませんが(まだ明らかになっていない部分があるため)、共通している要因があるということは、海外の知見とこれまでの当クリニックでの治療実績からも言ってよいのではと考えています。
実際に、慢性疲労症候群と診断されていた方に対して、副腎疲労に対する根本的ないくつかの治療を複合的に行い改善されたケースが少なくありません。
中には、副腎からだけではなく、脳の機能に対する治療が必要な場合もあります。
似たような慢性疲労という症状であっても、その方によって何が主な原因なのか・・・?ということをできる限り検査、問診で明らかにして、それに対する治療やケアを行っていくと、結果として症状が改善し、日常生活や仕事のパフォーマンスの向上につながっていきます。
ただし、この場合の「検査」は、一部の血液検査を除き、ほとんどは海外へ委託する、特殊な検査が多く、体の様々な働き(機能)の状態について明らかにする各検査です。
従って、従来の日本の保険診療の範囲では、慢性疲労症候群の原因を追究するのは極めて困難と言わざるを得ません。
30万人もの方が苦しまれている現実に対して、日本の国にももっと精力的に問題解決に向けて取り組んで頂きたいと切に願ってやみません。